2011年03月24日

東電に見る、全体が分かる人がいない企業

企業参謀 (講談社文庫) [文庫] / 大前 研一 (著); 講談社 (刊)

このたびの原発事故に関する報道を見ていると、東電の役員たちのリーダーシップ不足が伝わってきます。
前に、「東電の役員には原発の専門家がいない」ということを書きましたが、それもそのはずで、原発の専門家は東芝や日立なんですね。では東電は何をやる会社かと言うと、発電所の設置場所を確保したり、送電線を張り巡らす場所を確保したり、オール電化マンションを推し進めたり、と基本的には営業系の会社なんですね。
つまり、どれだけ東芝や日立に技術があろうとも、東電が場所を確保しなければメーカーは活躍できないわけです。こういう力関係だから、東電は東芝や日立に対して大きな態度でもって接してきたわけです。
すこしそれました。

いま、さまざまな業種で発生しているスペシャリスト化。ある一部分だけを入社以来やりつづけて、その部分については詳しいけれども、全体がわからない。これが結局、欠陥品を生み出してしまう原因になっている場合も多いと思いますし、なにか問題が発生したときに、その原因究明に時間がかかる原因となっていることも多いと思います。
会計監査の世界でも、一部の科目ばかり担当し続けたり、特定の業種ばかり担当し続けたり、連結監査ばかり担当し続けたりすると、結局全体で何が起こっているのか分からない人になる。だけどそんな人が「偉い人」になったりします。

これは発電所や自動車など製品についても言えますし、企業経営についても当然言えると思います。

ま、役員がスペシャリスト集団ならかなりいいんですけどね。。。創業者の太鼓持ちとか、かつて何かの商品をヒットさせた一発屋とか、年功序列とかじゃあねえ。。。要は、ご褒美で役員にさせてあげる文化をなくさないと、危機に対応できる会社は作れないんでしょうね、、、と無責任に発言してみました。

とはいえ今回の件で、多くの会社が危機感を持ったのではないでしょうか。だけど自分自身がそうやって役員になったんで、なかなか批判できないんですよね。自己批判になっちゃうから。


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おととしあたりから、子会社を親会社に合併したりして、グループ企業の数を減らす動きがありました。企業の数だけヘッドクォーターがあり、事務部門がありますから、連結全体のコストを下げるためにも、効率性を高めるためにも、無駄に増えてしまった会社を減らすのは正しいと思います。
しかし、親会社が大きくなりすぎると、問題が生じます。全体がわかる人がいないからです。あまりにも業種が多岐にわたる場合、もはや一人の手では管理しきれません。そもそもスペシャリスト化した役員ばかりですから、全体を動かせる人間がいなくなっているんですね。

これは古くて新しい問題でしょう。

たとえば東芝です。東芝は数年前に、「原子力と半導体に絞る」と言って大きく舵を切りました。今回の事故により、東芝は大きなダメージを受けてしまいましたが、おそらく当時の経営陣にとって管理可能な(あるいは得意分野だった)事業が、そのふたつだったのでしょう。もちろん、将来性やコアコンピタンスなどを理由としての決断でしょうが、やはり自分たちの手に負える事業を選んだのに違いありません。それでも、良い判断だったと思います。

しかし、近い未来に起こると想定される問題は何かというと、東芝にはもともとたくさんの事業があり、役員や次期役員クラスには、さまざまな事業のスペシャリストがいるわけです。それを「原子力と半導体」に絞ったわけですから、そのふたつに詳しくない人がいるわけです。もし、詳しくない人材がトップに立った場合どうするかというと、また「大きく舵を切る」ことになるわけです。自分の得意分野を取り戻して、資源の集中を行ってしまうわけです。
日立なども同じ問題を抱えているでしょう。

会社ってのは、常にその本質を見失わないようにしないといけないんですね。何をする会社なのか、というところに集中していないと、軸がブレブレになっちゃうわけです。
ま、言うはヤスシ行うはキヨシですが。

そういえば以前この記事でも「東電」のことが少し出てましたっけ。メモ:ソリティア社員を抱えている大企業(規制産業)たち


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監査法人は給料を下げろ。そしたらみんなハッピーになれる。


posted by TT at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 福島原発&東電関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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