2011年03月30日

【計画停電】電力とGDPと政府財政のこと

試験攻略新経済学入門塾 1 マクロ編 (1) [単行本] / 石川 秀樹 (著); 中央経済社 (刊)

昨日の記事
自粛しすぎると、炉心だけじゃなくて日本溶融しちゃう件

前回の記事で、みんなが消費を自粛するとGDPがさがって、GDPが下がると税収がさがって、そうすると復興資金の財源がなくなる、という話を書きました。
で、今回の原発事故で電気が無いという事態が勃発して、これがどうGDPに影響するのか想像してみると、、、

電気が無い=工業生産が減る=輸出量が減る=GDPが減る
電気が無い=工業生産が減る=リストラ=可処分所得が減る=消費支出が減る=GDPが減る
電気が無い=遊ぶところが減る=消費支出が減る=GDPが減る
電気が無い=工業生産が減る=メーカーの企業価値が減る=投資支出が減る=GDPが減る

わあ、かなり影響あるよ、、、と。逆に電気が増えるとGDPが増えると考えられる。


さて、下は昨日も紹介した家庭用の電力消費の図。
2000年以降は横ばいで、5兆キロカロリー。1990年は4兆キロカロリー、1980年は3兆キロカロリーでした。
pres_jigy_japa_inde03_l.gif

次の図は、日本の実質GDPの推移。
1980年から2010年までの推移ですが、電力消費量のグラフと形が似ていませんか?
[世] 日本の実質GDPの推移(1980〜2010年)

うわぁ、電気無くなったらGDP無くなっちゃうじゃん、、、と。思わせてしまうグラフふたつでした。

で、GDPの公式を再掲。
GDP=消費支出+投資支出+政府購入+輸出−輸入
政府購入ってなんだ?
どうやら公共事業による政府支出や、公務員に払う給料のことらしいですよ。
公務員削減する=政府購入が減る=GDPが減る
ふむふむ。で、過去実績で言うと、GDPの2割を占めるのがこの政府購入。(なお6割を消費支出が占めている)

公務員減らすことは、いいことのように思えますよ。
だけど、減らすとGDPが減る。
となると、GDPなんてどうでもいいんじゃないか、と。
だけど、GDPが減ると法人税、所得税が減りますよ。
ふむふむ。。。

まあ、GDPなんてものはもしかしたらどうでもいいのかもしれません。大事なのは日本溶融を避けることだから。

で、平成22年3月末、一般会計の貸借対照表はこれ。
総資産 260兆円
負債 650兆円
純資産 △390兆円   めちゃくちゃな債務超過。資産260兆円となっているが、かなりの部分が売却不能な資産であり、時価で考えるとほぼゼロ。というわけで、だいたい600兆円の債務超過になっていると考えて間違いない。

公債発行残高の推移
http://www.mof.go.jp/zaisei/con_03_g01.html

平成22年3月期の損益計算書がこれ。
収益 50兆円
費用 90兆円
損失 40兆円 大赤字。

赤字だから国債償還のために国債を発行しないといけないわけで、そんな国債を乱発してると国債の価値がさがってしまって日本溶融。。。と。


債務超過については、急激にどうこうするなんてのは無理ですね。
要は日本国の正味現在価値を高めることが大事なわけです。で、正味現在価値は将来キャッシュフローがあればあるほど高まります。しかも成長する予想だと高まります。日本国の正味現在価値が高まれば、国債の価値も高まるわけです。日本国の正味現在価値の源泉となるのは、毎年の利益です(今は40兆円の損失ですが)。で、その毎年の利益の源泉となるのはまず税収。その税収の源泉となるのは、個人の所得であり、法人の所得であります。そのまた源泉となるのは国民の付加価値を生み出す力というわけでありますが、いま人口減少過程に入ってますし、平均年齢上昇(高齢化)過程に入ってますから、一人ひとりの付加価値率を高めることが必要になる、と。。。


収益の大部分は税収です。税収はだいたい45兆円ですが、その内訳は、、、
所得税 15兆円
法人税 10兆円
消費税 10兆円
その他 10兆円
だそうです。

電気が無い=工業生産が減る=企業の利益が減る=法人税が減る
電気が無い=工業生産が減る=リストラ=所得税が減る
電気が無い=遊ぶところが減る=消費支出が減る=消費税が減る
というわけです。
その他の税収ってのは、固定資産税とか相続税とかそういうのでしょうか。となると、ここの税率を上げるしかないよね、と。。。付加価値生み出す力がないんだったら金持ちから絞り取るしかねえ、と。衰退期に入った企業が土地とか売ってなんとか利益をひねり出す状況ですね。そのうち粉飾しはじめます。

たとえば預貯金から税金取るとか。げっ!
預貯金から税金取るとなると、貯めてても馬鹿らしいから使う。使えば消費税が増える。。。

一時的にこういった資産税をメインにするのはいいかもしれません。みんなお金使うようになるから。そしたら付加価値を生み出す力が高まるかもしれないから。
だけど、国民の資産を絞り取るのは、刀を取り上げるのと同じ。
すでに日本人は武器持ってないし、さらに現金も国に取り上げられたら、ほんとに力がなくなって政府に簡単にコントロールされるようになる。これはやばいよ。

続いて費用。
費用90兆円の主な内訳は、
特別会計への繰入 32兆円
補助金等 35兆円
だそうです。
何に使われてるのかまったく分かりません。ここを減らせばいいんじゃないの? と日本の会計士は考えます。でもたぶんこのシロウト考えで合ってると思います。


で、結論は?

GDPなんて減ったっていいじゃん。GDPと幸せは比例しないよ。。。ほんと?

とはいうものの、借金がなければそれでもよかったんだけど、この15年で急激に国債発行残高が増えちゃいましたし、毎年赤字ですし、いま1980年とか1970年のGDP水準に下がっちゃうと日本溶融しちゃうよ、と。
別に日本溶融したっていいじゃん、と言われると、、、まあそうかもしれません。僕自身、日本溶融になったときに生活がどう変わるか、あまりイメージがありません、いまのところ。なんとなく、いままで日本人男性がアジアに買春ツアーに行っていたのが、逆にアジア男性が日本に買春ツアーに来るようになるんだろうとか、そうなると日本女性が海外の中年男性の相手をしてお金を稼ぐようになるんだろうとか、日本の若者はどんどん外国に出稼ぎに行くようになるんだろうとか、日本で有名な大学を卒業しても日本に仕事がないから海外に行くんだけど、やらせてもらえるのは肉体労働なんだろうとか。日本の飲食業でウェイトレスやってるアジア女性が医学部卒とかありますからね。で、国内にあるのは農業とか漁業とか一次産業とかで、あとは外資系企業の工場労働があるのかな、とか。といっても電気が無いからそれほど工業生産も伸びないわけで。


もちろん、高い技術、高い能力、多くのマネーを持つ人は、貧しい思いをしないで生きていけると思います。。。で、それってなあに? と。

例:オーストラリア移住要件の一部
技術系(会計士、IT専門家、看護師、医師、エンジニア、心理カウンセラー、特別学級教師とか)
http://www.ssvisa.com.au/form/skillvisa.htm
事業家系(30万豪ドル以上の年間売上高がある事業のオーナーである、とか)
http://www.ssvisa.com.au/visa/bussiness.htm

世界のどこでも生きていける力をつけろ、と。。。厳しいなあ。。。
その前にやっぱり電気を取り戻せるなら取り戻そうぜ。

日本のプライムミニスターがこんなこと言ってるそうです。
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菅首相、脱原発「当然議論になる」 福島党首と会談
社民党の福島瑞穂党首は30日午後、菅直人首相と官邸で会談し、危険性が高いとされる原発の停止・廃炉や、自然エネルギー政策への転換など「脱原発」政策を提言した。
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あ、言ってるのは社民党か。
いずれにせよ、自然エネルギー政策はとっても大事なことだと思います。大いに進めてもらいたい。
だけど発電所作ったり、つぶしたりするのって1年や2年じゃできないから、民主党も自民党も社民党も一緒になって15カ年計画くらいのエネルギー政策を作る必要があるでしょうね。で、その間はだれが総理大臣になろうとも、そのエネルギー政策を変更することは許されない。そうしないと、右往左往しちゃうから。選挙対策で国民のご機嫌取り発言とか、ほんといらないぜ。



自粛しすぎると、炉心だけじゃなくて日本溶融しちゃう件
世界人口推移、年齢構成、GDP。そして国家戦略
原子力をあきらめない(震災後のはなし)

 


posted by TT at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 福島原発&東電関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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