「会計監査は必要か?」なんてことが話題になったりすることもあります。
で、だれのためにやってるの。ってことですけど、基本的には投資家のためですよね。
投資家から見て、会計監査は必要か? と言われると、、、
・・・・・・必要です。
とっても、必要です。
未監査の財務諸表ってのは、分析する気にもなりません。
非上場企業を買収しようっていうときなら、徹底的なデューデリジェンスを求めるでしょうし、上場企業に投資しようって場合には、とうぜん監査を求めますよ。
具体的に会計士のみなさんに何を求めてるか。。。というと、これは投資家それぞれにいろんな期待、思惑があるでしょうから、ここは私見をひとつ。
◆やっぱり帳簿突合
まずはこれですね。日々の記帳業務に基づいて財務諸表は作成されているのか。これは必須の監査手続きでしょう。転記ミスとか漏れとか無いかチェックよろしくおねがいします。
◆連結の範囲をしっかり固めてほしい。
連結外しなんて恐ろしいことは見逃さないでほしい。これは、なかなか投資家からは見つけづらいっすよ。投資勘定がとつぜん激減したとか、在庫が激減したとか、その理由もとくに開示されてないとか、そういう場合は怪しいんで投資しませんけど、まあそういうの。
◆現預金の残高確認
基本手続きですね。監査やってる人たちはあまり気にしないかもしれませんが、企業価値を評価しようってときにはキャッシュ残高は割と気にします。
◆借入金の網羅性をチェック
これも銀行への確認状とか支払利息の分析とかでしっかりやってもらいたいところ。会社は赤字だからって倒産しないけど、借金があると倒産しますね。黒字倒産とかね。だから借金残高はとっても気になる。あと企業価値を評価するときにも使います。
◆売掛金の残高確認
粉飾といえば売上・売掛金ですからね。ここは必ずやってほしい。売掛金残高に重要性がある企業なら、投資家もしっかり分析するんですけどね。だけど、念のためやってほしい。キャッシュフロー計算書を分析したり、売掛金の回転期間分析とかやったりすると、粉飾してるかどうかだいたいわかるので、そういう怪しいところには近づかないんですけど、やっぱり監査と言えば「残高確認」ですよ。会社に対する牽制効果もあります。
◆在庫の評価
粉飾したりしますね。しっかり倉庫とか工場とか見てきてください。分析すると「あー、ちょっと盛ってるな(粉飾してるな)」って思う会社もあります。だけど、ちょっとお化粧してるとして、「じゃあ、実際はどのくらいの残高になるんだろう」ってのは、わかりません。っていうか、そういう危ないところには近づかない(投資しない)んですけどね。
◆株式の評価
粉飾したりしますね。あまりにも投資有価証券とか持ってる会社はちょっと嫌な感じなんで(本業に力入れろよ!ってこと)、こちらからバイバイするんですけどね。
あと、子会社株式の評価なんですけど、意外と気にします。子会社の業績は連結財務諸表に反映されますから、会計士のみなさんは「どうせ連結されてるんだけどね」なんて言うんですけど、個別財務諸表も見ます。
たとえば「関係会社株式評価損」とかが多額にあったりすると、着目します。連結財務諸表だと、いろいろ混ざっててわからないけれど、関係会社株式評価損の内訳が開示されてたりすると、「あっ、この事業はうまくいってないんだな」「あれ、この会社おととし買収したばかりじゃん。もう減損? おかしいな(オリンパスの事例)」とかわかりますから。
まあ、こんなところですか。
あれ、貸借対照表の項目ばかりだね。
あとあれだ、粗利率とか気にするから、原価の中身ね。製造業なんかだと特にね。しっかりチェックしてほしい項目ですね。原価に入れるべきものが販管費になってたり、その逆とかね。
・・・で、こうして監査された財務諸表が出てくる、と。
投資家は、ここからがスタートですからね。
こっから分析するわけですよ。
監査法人のみなさん。いつも感謝してます。ありがとうございます。